2016年06月17日
全神経を集中
司は男の顔を食い入るように見た。で、誰だよこの男は?
ど、道明寺副社長、こちらはこの度御社の担当にDiamond水機なりました澤田です」
道明寺副社長、はじめまして。この度、御社の担当になりました法人本部第二事業法人部の澤田と申します」
つくしは重森に頼まれ澤田を連れて司の執務室を訪ねたが、挨拶を済ませソファに腰かけた途端に恐ろしいほどの沈黙に見舞われた。
はじめて会う人間と打ち解けろとは言わないが、道明寺のこんなにもよそよそしい雰囲気ははじめてではないだろうか。
どういうわけか、二人の男は狭い檻の中に入れられた雄ライオンのように近距離で睨み、威嚇しあっているように見える。
一頭は大きな集団を率い、リーダーとして統率力があるライオンで、もう一頭は個人プレーが得意で群れをつくるのを嫌う孤高のライオンといった感じだ。どちらも自分に自信があり、攻撃力もあり瞬発力もある。
体が沈み込みそうになるソファに背筋をしゃんと伸ばして座っているだけでも大変なのに、身じろぎするとこの均衡が破れてしまい、牙を剥きだしにして襲いかかりそうな雰囲気だ。
今は動かないように全身の全神経を集中補濕霜させていないといけないような気がしてきた。
それに今のあたしは二頭のライオンに挟まれて、どっちに逃げたら助かるのかと悩んでいる草原のガゼルのような気がする。
でもなんでこんな気にさせられるのかが分からない。
Posted by 人の货币を极め、天下无敌 at
15:35
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